キコニアのなく頃に 【テーマ考察】
「キコニアのなく頃に」
この作品のテーマについて考えました。
キコニアの世界についての考察ではありません。また、主観を多く含みます。
キコニアの他、「ひぐらしのなく頃に」「うみねこのなく頃に」、そして「新世紀ヱヴァンゲリヲン」のネタバレがあります。ご注意を。
キコニアのテーマは、Phase1時点ですが、「子どもと大人の違い。子どもはいかにして大人になるか。」ということではないかと考えています。
キコニアは、なく頃にシリーズの前作、前々作と違って、「子どもと大人の対比」が明白に描かれています。
「大浴場騎士団」と「プロメテウス騎士団」です。
では、以前のなく頃にシリーズでは、子どもと大人の対比はどのように描かれていたでしょうか。
例えば、ひぐらしのなく頃に。
皆殺し編では、虐待を受ける沙都子を助け出したい圭一が、「自分たちが村八分にされないために北条家を村八分にしなければ」という村民の考え(実際は村八分にしたいという意思は存在しなかった)を打破しました。
一心に仲間を助けたいと思う子どもが、古臭い凝り固まった大人の価値観に賛同できず、起こした行動がいい結果に働くことになりました。
では、うみねこのなく頃に。
うみねこでは、惨劇の原因の一つに、「大人の価値観を子どもが理解できなかった」ということがあると思います。
戦人が六軒島に帰って来なくなったのは、留弗夫が明日夢の死後、すぐに霧江と結婚したから。
もし戦人が、「大人は仕方ないなぁ」とか思って、流すことが出来たなら、家出もせず、惨劇は起こらなかったのではないでしょうか。Last noteを読んでもそう捉えることができると思います。
しかし、戦人は、留弗夫が霧江とすぐに結婚したことを裏切りとして捉え、受け入れられずに、家を出て行ってしまいました。
結果、戦人は六軒島に戻らなくなり、魔女・ベアトリーチェが誕生。惨劇が起きる。
これは、「ひぐらしのなく頃に」とは対照的で、子どもが大人の価値観に賛同できなかった(理解できなかった)から、惨劇が起きた。
ただ、私は、こればかりは仕方がないような気がします...。
最後に、「キコニアのなく頃に」
キコニアはまだ未完作品なので、これから書くことは憶測になります。
「ひぐらしのなく頃に」では、子どもが大人の価値観に賛同できなかったことが良い方向にはたらきました。
「うみねこのなく頃に」では、子どもが大人の価値観に賛同できなかったことが惨劇に繋がりました。
そして、どちらも、他に選択肢はなかったと思います。
圭一が大人を説得しないという選択肢。戦人が仕方ないと受け入れる選択肢。
子どもの純粋さが、それぞれの選択をさせたのではないかと思います。
では、「キコニアのなく頃に」は?
大人の考えは、プロメテウス騎士団の悲願。「地獄の回避」
そして、地獄を回避するためには、第四次世界大戦による犠牲者は仕方がない。
対して、都雄率いる大浴場騎士団は、自らを平和の番人として、「死ぬな、殺すな」の考えに則って、第四次世界大戦を防ごうとしています。
しかし、Phase1の時点で、都雄は地獄の存在を知りません。
だから、都雄が平和を願うのは、仕方ない、子どもとしての普通の行動だと思います。
ただ、私はこのまま「ひぐらし」や「うみねこ」と同じようになるとは、思っていません。
キコニアは新世紀ヱヴァンゲリヲンを意識して書かれたものと竜騎士先生がおっしゃってます。
キコニアとエヴァを重ねると、例えば、ジェイデンは渚カヲルのようであったり(主人公にべったり)、リリャは綾波レイのようであったり(粘土の人形)、子どもしかガントレットナイトになれないという設定があったり(エヴァも14歳しか乗れない)、類似点が多数存在します。
大人の価値観に賛同できない、というのは、エヴァの主人公・碇シンジにもありました。
しかし、最終的には、世界の在り方を自分で決めて、世界を作り直す方向に進みました。(コミックス版)
もし、キコニアがエヴァと同じようなルートを辿るとしたら、地獄(平和)か悲願(プロメテウス騎士団的言い方)かを、主人公の都雄が選ぶのではないかと思います。
他の「なく頃に」主人公とは違って、大人の考えに賛同するか、しないか、という選択肢が出てくる。
その都雄の選択が、「キコニアのなく頃に」という世界の運命を決めるような気がしてなりません。
子どもは、犠牲を仕方ないものとして受け入れられない面が大きいのではないかと思います。
その犠牲を、仕方ないと諦められるようになって、大人になる...。
そんなことが、「キコニアのなく頃に」では描かれるのではないかな、と思っています。
ただ、提示されたものとは全く違う選択肢を選ぶ可能性もありますし、それはそれで面白いので期待です。
こんなことを考えながら、キコニアのなく頃に Phase2を楽しみに待っています。
これは1つのテーマの例であり、このテーマだけではなく、他にもいろいろな共通テーマがあると思うので、考えてみると面白いですね。